今年2月に出版された ”MGM: Hollywood's Greatest Backlot” (「MGM: ハリウッド最高の撮影所」)。
撮影所内の建物の配置から、映画制作に携わる各部門や、食堂(commissary)、理髪店、医務室、学校などの諸施設、通りや常設の野外セットまで、全盛期のMGM撮影所が、多くの写真と短い文章によって紹介されています。
MGMスタジオは第一撮影所から第三撮影所(Lot1~3)まで、大きく三つの区画に分かれていたようですが、われわれに最もなじみのあるのはおそらく第一撮影所---ここにはサルバーグ・ビルや約30のサウンドステージが点在し、昔のMGMの映像として流されるのはこの界隈が多いようです。
サルバーグ・ビル(1942)
黄金時代のMGMというと、まずこのビルの前景がでてきます(現在はソニー・ピクチャーズが所有)。
さて、サウンドステージ内のセットは撮影が終われば壊されるわけですが、5番と6番のサウンドステージのセットだけは常設で、しかもミュージカルと深い関係があります。
劇場です。
ステージと客席、特別席のバルコニーを備えたこの劇場のセットは、MGMの多くのミュージカル映画に利用されています。主なところを挙げてみただけでも、「巨星ジーグフェルド」、「ローズ・マリー」から「美人劇場」、「ジーグフェルド・フォリーズ」、「イースター・パレード」、「巴里のアメリカ人」、「雨に唄えば」、「バンドワゴン」、「絹の靴下」。最後は「ニューヨーク・ニューヨーク」の頃まで利用されていたようです。
この6番サウンドステージの屋上にはMGMの看板が掲げられていたそうなので、おそらくこの建物だろうと思われます。ザッツ・エンタテインメント Part3からキャプチャーしてみました。
5番ステージは隣接した建物ですが、この写真からはどこがそうなのかわかりません。
ところで、サウンドステージの項でたまたま載っていたのがこの写真。
「ロザリー」(1937) 終盤の大プロダクションナンバーのフィナーレ。撮影の様子を、クレーン上のカメラも含めてさらに後上方から俯瞰しています。
以前、エレノア・パウエルの項で、このシーンにはマリオン・デイヴィス版との合成疑惑があると書きましたが、この写真を見る限り、完全にセットを作り、多数のエキストラを集めて撮影されています。
噂は否定して良いようです。
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