
時とともにアステアも元気をとりもどし、撮影も可能になっていきます。
「いくつものナンバーを撮影していると、時にフレッドはダンスの楽しさで頭がいっぱいになってしまうことがあります。とくに大学のダンス会場で踊る ”スルーフット” のシーンがそうです。彼がとても楽しんでいるのがよくわかります。踊り続けながら、二人とも楽しくて仕方がありませんでした。私たち二人が味わったその楽しさは、スクリーン上に永遠に記録されているのです。」
「 ”スルーフット”の衣裳は自分でデザインして良いことになっていました。するとフレッドはダチョウの羽は付けないように---とくに肩の辺りには---と頼んだのです。彼はまだジンジャー・ロジャースの羽のことを忘れていなかったのです。
彼はリズムにことのほかうるさく、時にはすぐに音楽を止めさせるようなこともありました。フレッドがうるさいことを口にしたといえば、ジンジャーとリズムについてくらいだったでしょう。」
「私たちは一度だけ『口げんか』をしたことがあります。よくできたと思われるでしょうが---ええ、したんです。あの偉大なフレッド・アステアが私の足を踏んだんです。一度だけ。それを彼は私が間違いを犯したように言って責めたのです。
私はすぐに言い返しました。
『いいえ、あなたよ、フレッド! あなた が 私 の足を踏んだの!』
彼はちょっと考えてから、不服そうに言いました。
『ンーーーーー、 ごめん 』」
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