2010年6月22日火曜日

レスリー・キャロン 自伝 その10 「エスター」




















ハリウッドに来て初めての宣伝写真
ヴェラ=エレンのチュチュはウエストが長かった


 彼女を教える二人のアシスタントとは、スタンリー・ドーネンと別れたばかりのジニー・コイン、そしてキャロル・ヘイニーです。二人が見守る中、レスリーは練習を続け、その様子を二人はケリーに伝えます。映画の冒頭、彼女が踊るソロに使うアイデアを提供していたのです。

 ジャズに合わせての「モダン・ダンス」は新しい経験でした。動いているとついクラシックバレエの基本に戻ってしまうため、二人はレスリーを抑え続けなければなりませんでした。

 

「膝を曲げるの、レスリー。足は前に出したまま。第二ポジションは忘れて!  腕の力は抜いて!」

 彼女は、力強さと官能的な優雅さを兼ねそなえたキャロル・ヘイニーの踊りをコピーし、練習します。


 宣伝も大事な仕事です。

 着ているものがあまりに垢抜けないので、スタジオも困りはて、衣裳部に連れて行かれます。マスコミへのお披露目ではエリザベス・テイラーが「花嫁の父」で着た服を着せられますが、サイズが同じなのでピタリと合いました。 映画の宣伝写真用にはヴェラ=エレンのチュチュを着せられますが、これはウエストが長すぎたそうです。

 スタジオ内でのお披露目も大切です。

レスリーは宣伝部に連れられ、当時の主だったスターのところを挨拶に回ります。 ハワード・キール、ヴァン・ジョンソン、ピーター・ローフォード、ジューン・アリソン、ジュディ・ガーランドらについてはおおむね好意的な印象を記していますが、エスター・ウィリアムズにだけはいささか違ったようです。

 興味深いのでそのまま訳してみました。

 当時の興行収入No1のスター、MGMミュージカルの女王、エスター・ウィリアムズにも会いました。彼女は水の中でも外でも、あからさまで、傲慢なほどに自分のステータスを見せつけていました。負けず嫌いで、愛想よく振る舞う気などさらさらなく、他人の話など聞く様子もありませんでした。船乗りのように口汚く、レディらしく見せるつもりもなかったようです。彼女のことは好きだけれど・・・・近寄りたくはありません。


書かれる方もすごいが、書く方もすごい。


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