2008年1月31日木曜日

フレッド・アステア その7 「はら」

 下肢をコントロールする腹の使い方をを見てみましょう。


アステアの使う腹の範囲は、エレノア・パウエルほどではないが比較的縦に長い。


 「ジーグフェルド・フォリーズ」(
1946年)から”The Babitt and the Bromide”
 左はジーン・ケリー

 二人の腹の使い方はそれほど異なっているわけではありませんが、ケリーが比較的腹の下部(股関節周辺)でコントロールしているのに対し、アステアはもう少し上のみぞおち周辺までを「絞めて」います。

 距離にすれば大した違いのないこの腹腔内の絞め方が、実は二人のスタイルに大きな影響をあたえています。腹の下部のみを絞めると、ケリーのように重力に任せて中心軸をストンと落とした低い体勢が基本になるのに対し、アステアのように上部まで絞めると、自然に上方に向かってスッと立つ姿勢になっていきます。

 さらにこの体の使い方が感情にまで影響をあたえます。ケリーをまねると自然に何かいたずらでもしてみたくなるような快活さが生まれ、アステアの姿勢をまねすると、どこか乙にすました気分になるから不思議です。

 腹についてはこれ以上説明しませんが、これまでの記載を実際に自分の体で再現できる方ならご理解いただけると思います。


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

アステアとジーン・ケリーの比較、面白いです。ケリーの、地面を突き刺すような質量感に対し、アステアの軽やかな浮遊感。体型の違いだけではないはず…とは思っていましたが、腹の使い方がミソなんですね。

ところで、OmuHayashiさんはどうやって画像を見るだけで、体の使い方がわかるのですか?専門的な知識に感心&納得しています。きっと、身体の使い方がご専門のお仕事なのでは…と勝手に想像してます。

続きも楽しみにしています。

匿名 さんのコメント...

takkoさん、今晩は。

アステアとケリーはスタイルも得意分野も違うので、比較してみると本当におもしろいですね、

画像を見ただけでどうして体の使い方がわかるのかというご質問ですが、まあ、「見える」のと自分の体に「共鳴する」のとの中間のような感覚で、としか言いようがありません。

べつに私はこういうことに関係した仕事をしているわけではありません。趣味が高じてといったところです。

ではまた。