2009年11月7日土曜日

ちあきなおみ その3 「歌」


 これから彼女の「歌」について具体的に検証していきたいが、その前に私が「歌」というものをどう考えているかについて説明しておく必要がある。いささか面倒だが、しばらく我慢して読んでいただきたい。但し、ここで問題とする「歌」とは、歌詞とメロディーからなる歌曲そのもののことではない。歌曲を歌手が歌った時、声が歌手の身体で奏でられ、観客に伝わり、受けとめられるプロセス全体に関することである。そしてその主体はやはり「身体」である。


 もう一つ、ついでにお断りしておきたいことがある。


 この項を書くに当り、私は発声法やボイストレーニングについて、入門書やネット上の記事を二、三拾い読みしてみた。しかしこれから述べるような事柄に関する記述を見つけることはできなかった。踊りと同じように私は歌うことについて全くの素人なので、専門的なことについては何も知らない。そのため、これから書くことが歌唱法の世界では昔から言われているごく当たり前のことなのか、それともそうでないのか、皆目わからない。「何を今さら言ってるんだ」と馬鹿にされかねないことなのかもしれないし-----それならそれで、間違ったことを言っているわけではないので良いのだが-----反対に、まったくでたらめで、そんなことはありえないと言下に否定されてしまうことなのかもしれない。


 困ったことに、これから述べることを客観的に証明するのは踊りの場合以上に困難で、「私にはそう聞こえる」としか言いようがない。仕方がないが、あとは読んでいただいた方の判断に任せるしかないのである。もし、さも大発見をしたように言っていることが昔から言われているごく当たり前のことだとしたら、私の無知のせいとご容赦を願いたい。



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