2010年11月24日水曜日

ディアナ・ダービン その21 「Lady on a Train」

 194412月の末に封切られた“Can't Help Singing”は、ディアナ初のカラー作品ということもあり大ヒットを記録します。
 翌456月、彼女はプロデューサーのフェリックス・ジャクソンと、ラスヴェガスの小さな教会でひっそりと結婚式を挙げます。ジャクソンは彼女より19歳年上で、すでに離婚歴が三度もある人物でした。案の定(?)一年ほどすると、ジャクソンの方から結婚生活に不満を漏らすようになります。二人の間には、'462月に初めての子供ジェシカが誕生したものの、'471月、ついに別居。最終的には、194910月に離婚することとなります。

 さて、” Can't Help Singing”の次の作品として'458月に封切られたのが、サスペンス・コメディーとして楽しめる、”Lady on a Train”
 監督は後にディアナの三番目にして最後の夫となるフランス人チャールズ・デイヴィッドです。
 サンフランシスコからニューヨークにやって来た大富豪の娘ディアナは、速度を落とした列車の窓から向かいのビルで行われた殺人事件を目撃してしまいます。到着するなり警察に駆け込みますが、事件の起こった証拠もないため取り合ってもらえません。ミステリー好きの彼女は愛読する本の作家の協力も得て、殺されたと思われる男の屋敷に忍び込みます。そこで男の愛人と間違われたことから、一族の争いに巻き込まれ・・・・・
というお話。
 サンフランシスコの父親にベッドの上から電話で「きよしこの夜」を聞かせる場面は、少女時代の同様な場面を彷彿とさせると共に、現在のグラマラスな彼女を見せることで、変わらないディアナを見たい観客と成熟した姿を見せたい彼女自身を同時に満足させる妥協の産物だと言われています。



 もちろんナイトクラブの場面での”Gimme a Little Kiss, Will Ya, Huh?”のセクシーな歌声も素敵です。
 結局われわれ観客には、この映画や”It Started with Eve”のようなコメディタッチの作品が、この時期のディアナ・ダービンの良さを最も引き出しているように思えるのですが、当人の不満はやはり続いていたようです。 





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