2010年1月22日金曜日

ジュディ・ガーランド その13 「L.B.」 続き


 このようなエピソードにもかかわらず、ガーランドは長年にわたり彼女の抱える多くの問題の責任はひとえにルイ・B・メイヤーにあると吹聴していました。彼女の言うところではメイヤーは、彼女を働かせるために薬を与え、体重を減らすために薬を与え、眠らせるためにまた薬を与えたというのです。

 実際のところ二人の関係を他の人々はどう考えていたのか、”Lion of Hollywood The Life and Legend of Louis B. Mayer “から抜粋してみました。

ベティ・コムデン 

「彼女は彼が災いの原因だと思っていたのよ」


 しかし、ジュディがワーナーブラザースかパラマウントで働いていれば、こんなひどいことは起きなかったろうと云う世間の考えを、アーサー・フリードは即座に否定します。

「こういった権力の迫害論はだな・・・・・・・・まず第一に、彼女が病気になったり入院したとき
治療費を払ったのはメトロだ。ルイ・メイヤーはすべての面倒を見てやったんだ。」 

ジョージ・シドニーも同じ意見です。

「スタジオが何らかの形で彼女をズタズタにしたと多くの人が考えているが、そりゃあナンセ
ンスだよ。彼女の私生活は問題が多すぎたんだ。」

 ガーランドはメイヤーが彼女を膝の上にのせようとしたり、感触を楽しむために尻を触ったと言っていました。

これに対してキャサリン・グレイスンは言います。

「気をつけた方がいいわ。ジュディは飲んでたのよ。彼女は酔っぱらうとよく突拍子もない
ことを言ってたの。彼はそんなこととをする人じゃないわ。彼はいつでも父親のように振る 舞っていたの。私に対してと同じような気持ちでジュディに接していたのよ。彼は私にそん な風に触ったりしなかったし、そんな風に考えもしなかったわ。人はレディならレディとして 扱われるの。そしてもしふしだらな女なら、ふしだらな女として扱われるの。それに彼はふし だらな女が嫌いだったのよ。」

アドルフ・グリーンの考えです。

 L.Bはジュディのさまざまな問題の象徴のようになっていた。でもルイにその責任を押し つけることができるのかわからないよ。どれ一つとして悪魔のごとく計画されたわけじゃない んだ。 スタジオの首脳たちは悪魔のように冷酷な判断を下していたと誤解されている。でも 彼らは ただ単に映画を作ろうとしていただけだよ。

『これを試してごらん。 うまくいかない?  じゃあこれは・・・・』 

いたいけない子供を怪物に変えるように計画してたわけじゃない。たまたま結果としてまず い扱いになったんだ。
ジュディ・ガーランドは偉大な歌手であり役者だが、過酷な人生を背負った不幸な女の子 だった。」


最後に娘のローナ・ラフトの著作の言葉を。

「振り返ってみると、母はL.B.メイヤーのことを人生の最後まで好きだった。MGMをやめ てからの十年間、母は自分自身に降りかかったことでL.Bを責めたことはなかった。母は 彼のことをいつも懐かしげに私たち子供や父に話していた。MGMに在籍していた間、母が病 気になると入院費を払ってくれたのはL.B.メイヤーだった。もう母が彼のためにこれ 以上映画を作ってあげられないとわかったときでさえも。」




















1952年、MGMにラナを訪ねたジュディ
契約解除後もこういうこともあったのかと思うと、なぜかほっとします


4 件のコメント:

ロパートキナ さんのコメント...

OmuHayashi様、岩手の小澤と申します。踊る大ハリウッドの再開大変うれしいです。ジュディ・ガーランドのお話も大変分かりやすかったです。ちあきなおみの身体論もすごい、と思います。ところで、今回は思い余ってのご相談であります。個人的にタップが好きで、タップに関する本を細々と集めています。先日も、Constance Valis Hillさんの著書「tap dancing america」
という本を購入しました。力のこもった大著で、タップの詳しい歴史が書かれています。といってもまだよく読んでいないのですが。パラパラッとめくっていたら、146ペイジに写真があり、「エレノア・パウエル」と説明がついていました。大好きなエレノア・パウエルなのでうれしいのですが、どうみてもエレノア・パウエルには見えません。明らかに別人と思いましたので、著者にメイルいたしましたら、間違いなくエレノア・パウエルだという返事でした。でも、ワタクシには腑に落ちません。どなたに相談したらいいか、考えあぐねて、OmuHayashiさんを思い出しました。時間がありましたら、調べていただけませんか。変なお願いですみません。

OmuHayashi さんのコメント...

 ロパートキナ(小澤)さん、こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

 さてエレノア・パウエルの件ですが、私はその本を持っていないので、すみませんが今のところ、「時間があれば調べてみます」としか申し上げられません。

 それに、著者から「本人だ」と言われてしまうと否定するのも難しくなりますし、仮に違う人だとしても私は他の女性タップダンサーの顔をあまり知りませんので、「誰それ」と特定するのは一層難しいのではないかと思います。

 というわけで、まことに頼りない返事で申し訳ありませんが、「あまり期待せずにお待ち下さい」ということでご容赦願いたいと思います。

OmuHayashi さんのコメント...

ロパートキナ(小澤)さん、今晩は。

 「Tap Dancing America」ですが、Amazon.comでKindle版を購入し(本よりだいぶ安い)、PCにソフトをインストールして読んでみました。

 146ページの写真(Kindle版ではページ数が出ないのではっきりしませんが、たぶんそうだと思います)は、確かに何の予備知識もなく見ればエレノア・パウエルではないと言いたくなります。

 ただ、写真というのちょっとした角度や化粧、髪型の変化で、本人とは違ったように見えることがあります。おまけに著者が本人だと断言していることも含めて、予断を持って見ると、なんとなくエレノア・パウエルに見えないこともありません。

 そう考えると、服のセンスや脚の出し方、角度が何となくエレノア・パウエルらしく思えてくるから不思議です。
 他にこういう顔のダンサーを知っているかと言われても、私には心当たりはありません。

 ということで、「確かにエレノア・パウエルには見えないが、そう見ようと思えば見えないこともない」というのが私の結論です。
 これ以上は写真の出所の”New York Public Library for the Performing Arts”で調べるしかないと思います。

 お役に立てず、すいません。

ロパートキナ さんのコメント...

OmuHayashi様、岩手の小澤です。早速お調べいただきありがとうございました。お手間をおかけしてすみません。わたくしはもう少し調べてみたいと思います。それにしてもキンドルというのはすごいですね。
パウエルの『ロザリー』という映画のDVDがアメリカで発売されたようですね。『ホノルル』というのも出ないかな、とまっているところです。
今後ともよろしくお願いいたします。