2011年7月24日日曜日

「合成ではない」
















今年2月に出版された ”
MGM: Hollywood's Greatest Backlot” (「MGM: ハリウッド最高の撮影所」)。

 撮影所内の建物の配置から、映画制作に携わる各部門や、食堂(commissary)、理髪店、医務室、学校などの諸施設、通りや常設の野外セットまで、全盛期のMGM撮影所が、多くの写真と短い文章によって紹介されています。

 MGMスタジオは第一撮影所から第三撮影所(Lot1~3)まで、大きく三つの区画に分かれていたようですが、われわれに最もなじみのあるのはおそらく第一撮影所---ここにはサルバーグ・ビルや約30のサウンドステージが点在し、昔のMGMの映像として流されるのはこの界隈が多いようです。









サルバーグ・ビル(1942)

黄金時代のMGMというと、まずこのビルの前景がでてきます(現在はソニー・ピクチャーズが所有)。

 さて、サウンドステージ内のセットは撮影が終われば壊されるわけですが、5番と6番のサウンドステージのセットだけは常設で、しかもミュージカルと深い関係があります。

 劇場です。

 ステージと客席、特別席のバルコニーを備えたこの劇場のセットは、MGMの多くのミュージカル映画に利用されています。主なところを挙げてみただけでも、「巨星ジーグフェルド」、「ローズ・マリー」から「美人劇場」、「ジーグフェルド・フォリーズ」、「イースター・パレード」、「巴里のアメリカ人」、「雨に唄えば」、「バンドワゴン」、「絹の靴下」。最後は「ニューヨーク・ニューヨーク」の頃まで利用されていたようです。

 この6番サウンドステージの屋上にはMGMの看板が掲げられていたそうなので、おそらくこの建物だろうと思われます。ザッツ・エンタテインメント Part3からキャプチャーしてみました。












5番ステージは隣接した建物ですが、この写真からはどこがそうなのかわかりません。

ところで、サウンドステージの項でたまたま載っていたのがこの写真。















 「ロザリー」(1937) 終盤の大プロダクションナンバーのフィナーレ。撮影の様子を、クレーン上のカメラも含めてさらに後上方から俯瞰しています。

 以前、エレノア・パウエルの項で、このシーンにはマリオン・デイヴィス版との合成疑惑があると書きましたが、この写真を見る限り、完全にセットを作り、多数のエキストラを集めて撮影されています。

 噂は否定して良いようです。