2010年8月13日金曜日

レスリー・キャロン 自伝 その21  「恋の手ほどき 2」

 実際にパリで行う撮影はMGMにとってもフリードにとっても初めての試みでした。野外ロケには天気、交通、騒音、テレビのアンテナ、警察への撮影申請と障害となるものはいくらでもあります。とりわけ57年の夏は天候も不順で、撮影はわずかな晴れの間に行わねばなりませんでした。それでも撮影監督のジョセフ・ロッテンバーグ、衣裳、美術、プロダクション・デザインのセシル・ビートンなど選りすぐったスタッフや素晴らしい俳優たちのもと、撮影は進行していきます。

 レスリーは自らを戒めます。

 「この環境は危険なほど完璧だわ。配役はすごいし、ジョー・ロッテンバーグのカメラワークは美しすぎる。脚本も音楽も歌詞もとっても素敵。衣裳はとってもエレガント。気をつけなくちゃ。マヨネーズを腐らせちゃダメよ。みんなこれで満足したり、良い気になっちゃいけないの。」


 彼女はシャンゼリゼにほど近いホテル・ラファエルの二階のスイートルームを与えられます。ホテルは撮影隊の本部にもなり、最上階に衣裳、メイクアップの各部門や、ドレッシング・ルームに事務室が置かれることになります。


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